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クイックオート ネオ LDL-C は、各リポ蛋白と界面活性剤との親和性の差を利用して、LDL-コレステロールを求めるもので、分画操作を必要とせず、汎用の自動分析装置に適用できる液状試薬です。また、超遠心法と極めて高い相関関係を有しています。
動脈硬化巣の初期病変であるプラークの内部にはコレステロールが沈着していますが、このコレステロールはLDLに由来するものであることが判明しています。また、LDL-コレステロールを低下させることで動脈硬化性疾患が減少することも確認されています。
このように動脈硬化に密接に関係しているコレステロールは、LDLに含まれるコレステロールなのです。したがって、動脈硬化を予防するためには、総コレステロールよりもLDL-コレステロールに注目しなければなりません。特に、日本人は、総コレステロール値が高値であってもHDL-コレステロール値も高値であるため、LDL-コレステロール値が正常である人が多く認められます。
本来、治療は必要でないこのような人たちを鑑別するためにも、LDL-コレステロールに注目する必要があるわけです。
動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド 2008年版より
心疾患や脳血管障害をもつ患者の血液中に多く含まれており、年齢と共に増加すると言われています。
型(Type) | I型 | IIa型 | IIb型 | III型 | IV型 | V型 |
---|---|---|---|---|---|---|
増加するリポ蛋白 | カイロミクロン | LDL | LDL、VLDL | IDL (レムナント) |
VLDL | VLDL カイミクロン |
総コレステロール | →または↑ | ↑~↑↑↑ | ↑~↑↑ | ↑↑ | →または↑ | ↑ |
中性脂肪 | ↑↑↑ | → | ↑↑ | ↑↑ | ↑↑ | ↑↑↑ |
クイックオートネオLDL-C | → | ↑ | ↑ | →または↓ | → | → |
フリードワルド 計算式LDL |
適用不可 | ↑ | ↑ | - 適用不可 (偽高値) |
→または 一部適用不可 |
適用不可 |
4℃、一夜放置後の血清外観 |
糖尿病患者の6~7割は高脂血症を合併しており(糖尿病合併高脂血症)、この場合、レムナントの増加などに伴う高TG血症が認められます。 クイックオート ネオ LDL-C は、高TGの影響を受けないため、糖尿病合併高脂血症の患者でも正確に測定できます。また、食後採血の場合でもTGの影響を受けないため、正確に測定できます。
臨床検査分野におけるLDL-コレステロール測定の国際標準法は、米国疾病管理センター(CDC)による超遠心法(Bata-Quantification;BQ)です。これは、血漿をそのまま超遠心して密度(比重)1.006g/mL以下の分画(VLDL)を除き、残りの部分の総コレステロール値とHDL-コレステロール値(沈殿法*による)で測定してその差からLDL-コレステロール値を求めるものです。これがいわば臨床検査上のLDL-コレステロール値の定義になります。
*ヘパリン-マンガン法+アベルケンダール法
高LDL-コレステロール血症:140mg/dL以上 (動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007度版)
検査項目 | LDL-C 直接法** |
LDL-C フリードワルド計算値 |
総コレステロール | HDL-C | 中性脂肪 | T-BiL | リン脂質 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
測定値 | 565 | 605 | 700 | 14 | 403 | 11 | 1106 |
検査項目 | LDL-C 直接法** |
LDL-C 超遠心法*** |
LDL-C フリードワルド計算値 | 総コレステロール | HDL-C | 中性脂肪 |
---|---|---|---|---|---|---|
測定値 | 72 | 74 | 181 | 284 | 43 | 297 |
詳細な脂質分析(アポEフェノタイプ)によりⅢ型高脂血症と判定されました。
レムナントの代謝が遅延して増加し、LDL-コレステロールは低値となります。
また、フリードワルド計算式では、Ⅲ型高脂血症は適用不可1)となっています。
**クイックオート ネオ LDL-C(本品)
***微量超遠心法(積水メディカル法)
糖尿病では冠動脈疾患などの大血管障害が高率に存在します。大規模介入試験の結果によって、糖尿病患者の大血管障害の予防には血糖コントロールだけでなく脂質コントロールも重要であることが明らかになっています。2型糖尿病の死亡原因は3大合併症(網膜症、腎症、末梢神経障害)ではなく大血管障害です。
第1位:LDLコレステロール
第2位:HDLコレステロール
第3位:HbA1c.
UKPDSによると、2型糖尿病患者における冠動脈疾患の危険因子は、1位:LDLコレステロール、2位:HDLコレステロールとなっており、少なくとも寿命への影響は高血糖より高脂血症の方が強いことを示唆しています。
糖尿病では冠動脈疾患などの大血管障害が高率に存在します。大規模介入試験の結果によって、糖尿病患者の大血管障害の予防には血糖コントロールだけでなく脂質コントロールも重要であることが明らかになっています。2型糖尿病の死亡原因は3大合併症(網膜症、腎症、末梢神経障害)ではなく大血管障害です。
糖尿病患者の心筋梗塞発症例を示しました。このデータによると、糖尿病はそれだけで大きなリスクとなり、糖尿病でない場合の心筋梗塞再発防止と同じリスクレベルと考えられます。
*United Kingdom Prospective Diabetes Study
日本動脈硬化学会に続いて、社団法人日本循環器病学会の虚血性心疾患の一次予防ガイドラインには、LDL-Cが管理目標値として取り上げられています。 食事の影響を受けずに正確に測定できます。
フリードワルド式(F式)はTG値を使用するため食事の影響を受けますが、クイックオート ネオ LDL-Cは食事の影響を受けません。
(菅野剛史、他:医学と薬学 37,635,1997)
TGが高いためF式ではマイナスとなった例です。高TG血症でもクイックオート ネオ LDL-Cは正確に測定できます。
(板倉弘重先生監修:脂質検査症例報告Case2より抜粋)
アガロース電気泳動により、カイロミクロンレムナントが確認されました。クイックオート ネオ LDL-Cは、カイロミクロンレムナントが出現するような場合でも正確に測定できます。
(板倉弘重先生監修:脂質検査症例報告Case3より抜粋)
高脂血症改善剤によりLDL-Cが低下し、HDL-Cが上昇するため、T-CHO値ではLDL-C低下が反映されません。またF式では、TGの影響によりLDL-Cの動きが反映されません。クイックオート ネオ LDL-CはLDL-Cの低下をダイレクトに反映します。
(防衛医科大学校第一内科 東賢治先生:埼玉脂質代謝研究会より)
LDLにはアポBが1分子存在するので、LDL-CとアポBの比で粒子サイズを推定(LDL-C/アポB≦1.2の場合、小粒子LDLが存在する可能性が高い)。
アポBはVLDLにも存在しますが、多くの場合LDLに存在します(90%以上)。粒子サイズの小さいLDLは酸化変性を受けやすく、冠動脈疾患の発症が3倍多く、悪玉中の悪玉とも呼ばれています。
(平野勉、他:Prog.Med.19,1854,1999より)
LDL-コレステロール直接法(クイックオート ネオ LDL-C)の食餌の影響について
LDL-コレステロール直接法は食後の経時的な変動は認められませんでしたが、フリードワルド計算値では中性脂肪の変動に起因すると考えられる変動が認められました。
フリードワルド計算式の制限 *1